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晴れの国在住。
最近”腐”の道に進みつつある女子
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2009/11/14 (Sat)

ようやく作りました。捧げ物スペース。
貰い物も徐々にUPしていかなくてはいけないんですが。
とりあえず一個作ったからひとつ。

リンクは貼れてないんですが、普段メール等でお世話になっているハチさんへ。
777hitを踏んだので。
その内ロク刹絵描いてくれるらしいです。わーい

リクエストの内容は『喧嘩するロク×アレ』だそうです。
ロクアレは初めてなので色々難しかったです。
でも楽しかったwww
あ、ちなみにこの兄貴はニールです。

ハチさんのみお持ち帰り可です。
では、つづきからどうぞ。


  『君の料理は世界一』

 俺がその光景を見た時の反応は、フェルト曰く「なにか得体の知れないものを見て、心がどこかに行ってしまったみたいだった」と言い、ティエリア曰く「死んだはずの先祖が蘇って目の前でラップダンスを踊っている姿を目撃したようだった」と言った。
 よくもまあ好き勝手言ってくれるとは思ったが実際には本当にその位驚いた。なにせ俺のハニー事アレルヤがエプロン(色は白、フリルつき)を着て、同じくエプロン(こっちはワンピース風味)を着た刹那とともに調理場に入ろうとしていたからだ。
 アレルヤは苦虫を数匹噛み潰したような顔をし、少し顔を紅潮させさっさと俺から逃げようと茫然としている俺の横を素通りしようとした。
「ちょっと待て」
 アレルヤの腕を掴んで阻止をする。
「これは一体何のサービスだ? というか何があった」
「トレミーの調理師さんが休みなので僕たちがご飯を作ることになったんですよ」
 ふむ、事情は判った。っつーか調理師の人たちも一斉に休むこともないのに。まあ、おかげでイイモノが見れたが。
 それよりもこのチョイスはなんなんだ?
 俺の視線がエプロンに向くのが判ったのか、アレルヤは溜息をついて解説してくれた。
「スメラギさんが出してくれたのがこれだったんです」
 ナイス・ミススメラギ! 後ろを向くと笑顔で親指を立ててきた。素敵な確信犯だ。
 アレルヤは恥ずかしそうにうなだれる。そんなに落ち込むことないのに。めちゃくちゃ似合ってるじゃねえか。
 そう言うとハの字に垂れた眉毛をさらに下げ、しゅん、と小さくなる。
「フリルのエプロンが似合って喜ぶ男はいません」
 まあ確かに。
「そこまで気にすることじゃねえだろ。大体刹那も女物の着てるけどまったく気にしてないぞ」
「刹那は小さいし可愛いからいいんです!」
 アレルヤがそう叫ぶと既に調理場に入った刹那が「小さい言うな!」という怒声とともに鍋の蓋を投げてきた。
 カーン、と良い音がアレルヤの頭から聞こえた。
 しばらく落ち込んだようにうなだれていたが、気持ちの整理がついたのかいつもの表情で頭を上げた。
「じゃあ、ロックオンは食堂で待っていてください。絶対入っちゃ駄目ですよ?」
 なんだその昔話みたいなノリ! 機でも織る気か!
「だってロックオンが来たら邪魔されそうですから。つまみ食いとか、するでしょう?」
 ひでえ、一応恋人に言う台詞かよ。こいつ優しそうな顔して結構きついよな。まあするけど、つまみ食い。
「で、なに作る気なんだ?」
「何が食べたいですか?」
 そう来たか。
「アレルヤの作るものなら何でも」
「え……」
 そう言って少し頬を赤らめる。予想道理、いい反応をしてくれる。
「て言うのもあるけど、そうだな。ジャガイモ料理が好きかな、俺は」
「ジャガイモですか。判りました」
 少し考えるような顔をし、神妙に頷く。
 実際そんな凝ったものじゃなくて良いから本当にアレルヤの料理を食べれるのは嬉しい。
 そんな事が顔に出たのか、アレルヤに呆れ顔で「だらしない顔になってますよ」と言われた。
 本当に意外と毒舌だよな、こいつ。
「じゃあ、絶対に入らないでくださいね」
「はいはい」
「はいは一回」
「……はい」
 こいつは俺の母親か何かか? いや、実際は恋人だけど。
 返事をした俺に満足したのか、アレルヤは満足そうに調理場の扉をくぐった。
 ま、実際は入る気満々だけどな。恋人が自分の為に一生懸命料理を作る姿は見たいじゃないか。
 自分の為だけじゃない事は棚に上げ、俺は一人ほくそ笑んだ。その結果何が起きるかも知らずに。

 

 調理開始から1時間経過。
 その間包丁の音やら何かがぐつぐつ言う音など、実に食欲をそそる音が聞こえてくる。
 調理場の重力設定や酸素濃度などは地上と同じにしているので、普通に料理すればいい、らしい。
 らしい、というのも、俺はもっぱら食べる専門だからだ。
 そろそろいい具合に出来かけたかな~、という頃を見計らって俺は調理室のドアを開けた。
「お~、いい匂いしてんじゃん」
「ちょ……、ロックオン! 入ってこないでくださいって言ったじゃないですか!」
 洗い物をしていたアレルヤが振り向いて声を上げる。
「だってアレルヤが料理してるとこなんてめったに見れないし」
 そう言ってにかっと笑うとため息をついて調理に戻る。
「今日の献立は?」
「餃子とチンジャオロースと卵スープですよ」
 さすが、人革連の首相は中国人だしな。骨の髄まで中華を叩き込まれてるか。
 しかし俺としては中華はちょっと油がしつこいんだよな……。
 ちょこまかと調理場をハムスターのように動き回っている刹那をひょい、と脇に通して俺は何気なくフライパンの蓋を開けた。
「あ……、ちょっとぉ! なにしてるんですか!」
 いきなり怒鳴られびくり、と省みる。
 普段の穏やかさからは想像もできないくらいいきり立ったアレルヤが近づいてくる。
 ぶっちゃけ奴は俺より体格がいい。背も俺より高い。
 そんな大男に迫られ、俺は言葉も出ずにぽかんと間抜けに口を開けた。
「なに、って開けただけだけど」
「いま蒸し焼きにしてるんですから! 蓋を開けると蒸気が逃げるでしょう!」
「ああ、そうなの? でもいったん焼いて火は通してるんだろ? 大丈夫だって」
「料理もしないロックオンに大丈夫って言われても大丈夫な保証はないでしょう! 料理音痴は黙っててください!」
 さすがにな。
 いきなり突入して料理を邪魔した俺は悪いさ。蒸し焼きってのも重要かもしれない。
 でもこう言われると俺もカチンと来た。
「そんな繊細な料理をこんな宇宙空間でやろうってのが間違いじゃいか? 大体、何が食べたいか、って訊いておいてそれを全く無視してるよな。ジャガイモは何処いったよ。食べる人あっての料理だろうが」
 真っ赤な顔をして口を開閉させていたアレルヤは、ぐっと唇を噛むと目に涙を浮かべてエプロンを剥ぎ取った。
 そしてそのまま床に叩きつける。
「じゃあロックオンがすればいいじゃないですか! 僕もう知りません!」
 そしてそのまま調理場を飛び出した。
 なんだよ、その程度だったのかよ。
 じろり、と出て行った先を睨みつけていると、俺の革ジャンをくいくい、と引いている手があった。
 見るとじっと、俺の顔を見上げている刹那の姿が。
 いつも道理感情なんて込めようもしない彼が、珍しく真剣な顔をしている。
「ロックオンが、悪い」
「んあ?」
「確かに、餃子の調理法には蒸し焼きにしない仕方もある。でもアレルヤは言っていた。『自分のできる最高の料理をロックオンに食べてもらいたい』、と」
 ぐ、と喉が詰まる。
「あと、油で焼いた後に水を入れて蓋をしていたので、水気が余っていたら跳ねてロックオンは火傷をしていた」
 そう言えば、フライパンは未だバチバチと小さな水を飛び跳ねさせている。
「ロックオンは、料理の知識がないからしらないかもしれないけど、水と油は反発しあう。油の中に水を入れるのはとても危険」
「…………」
「あと、ロックオンの言ったジャガイモの件だが……こっちに来い」
 俺のシャツを引っ張って冷蔵庫の前に立たせると、刹那は扉を開けた。
 冷蔵庫の中から刹那は銀色のボールを手に取った。上に張っていたラップを取り、俺に見せる。
「これは……」
「中華にはあわないと俺は言ったが、アレルヤがどうしてもって」
 そこにあったのは、白いクリーム状のポテトサラダだった。俺の記憶によると、ポテトサラダは所々ジャガイモが残っているはずだ。しかしこれは綺麗なクリーム状になるまで良く練ってある。この短時間にここまでするのは結構大変だったんじゃないか?
「よって。ロックオンが悪い……と、俺は思う」
 最後に控えめに言葉を付けたし、ボールを冷蔵庫に終った。
 そしてそのまま俺の手にあったフライパンの蓋を取り上げると、何事もなかったような顔をしてかぱ、と蓋をした。
 黙々と仕事を始めだした刹那を後にして、俺は調理場をそのまま飛び出した。

 

 

 

 

 

『いつまで泣いてんだよ、ヘタレアレルヤ』
 星の良く見える展望台で、アレルヤはぐすり、と鼻をすすった。
『最高の料理をあのニヒル野郎に食わすんじゃなかったのかよ。最後の仕上げをあのガキに取られてもいいのかよ』
「だって、ハレルヤ。ロックオンが……、ロックオンがぁぁぁ」
 ひーんと泣き出すアレルヤの脳内で、ハレルヤが舌打ちするのが聞こえる。
「僕も、そろそろできたかな、って思ってたんだ」
『ならなにがいけねえんだよ』
「ロックオンが、あんなこと言うなんて」
『売り言葉に買い言葉、ってやつだろ』
「でも……」
 ロックオンなら、判ってくれてるって思ってた。
そりゃ、多分入ってくるだろうな、とはアレルヤも考えてはいた。でもまさかこんな事になるなんて。
『あのさ、アレルヤ。焼きかけの餃子の蓋を開けられただけでそこまで落ち込むお前の脳みそが良く判んねえんだけど』
「餃子は始めの焼きもそうだけど下はぱりっと、皮はとろっとしたのが美味しいんだよ!焼きすぎたら皮が破れて中身が出るし、まだだったら粉っぽくて美味しくないんだ!」
「へえ、じゃあ美味い餃子っての、俺食べてみたいな」
 力説をしていたら、思わぬ合いの手が入った。
 無重力を無視して心臓が飛び上がる。
「ろろろロックオン!」
 声を大にして叫んだ後、決まり悪そうに目を逸らした。
「ま、俺は中身が爆発したのでも粉っぽいのでも、アレルヤが作ってくれたのならなんでも食べる自信あるけどな」
 ぴくん、とアレルヤが反応する。
 とん、と床を蹴って一気に距離を詰めてくる。
 ハレルヤは、もう何も言わない。気配さえも殺して二人だけにしてくれている。
「僕、まだ怒ってるんですからね」
 精一杯の皮肉を投げなける。顔は、まだ見れない。
 と、頭に温かな手が置かれた。慰めるように、ぽんぽん、と数回叩かれる。
「悪かったよ。でもな、アレルヤ。俺を見くびるなよ? たとえ生でも、焦げ炭になったのでもアレルヤが作ったのなら俺は美味いって言うよ」
「そんなの、嬉しくありません」
 声が震えていることを自覚する。
「まあ、刹那が作ったっていったら俺は不味いって言うかもな」
 それは、暗にロックオンのただ一人の人はアレルヤだと言うことで。
「美味い餃子、食わしてくれるんだろ?」
「当たり前じゃないですか」
 正面きってロックオンに笑いかける。
「ロックオンこそ、僕を見くびらないでください。今までで食べた事のないような料理をだしてあげますよ」
 ひゅ、とロックオンが口笛を吹く。
 そしてぎゅ、とアレルヤの身体を抱き締める。
 どこかでハレルヤのため息が聞こえた気がした。




*********

やっぱり愛のベクトルが刹那に傾いている……
アレルヤって多分目上に対しては敬語を使ってんじゃないか、と。
餃子の焼き具合は色々家によって違うので。
ウチんチは蒸し焼きです。
ひっくり返すところもあるらしい。
まあ宇宙でこんなものを食ってるわけない、って突っ込みは自分でしておきました。
300年後の宇宙食ってどげんなもんな?
とりあえず
ハチさん、ありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。

*********

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