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最近”腐”の道に進みつつある女子
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2010/10/09 (Sat)


ずーっと更新しようと思ってできてなかったブツです。
ロックオンに会ったばかりの刹那のお話です。



完全に全年齢です。
エロ成分まったくありません。

でもこういうほっとする話も書いていきたいです。
一応ロックオンと刹那の間に恋愛関係はまだありません。
子供の面倒を見てるイメージ。

ではつづきからどぞ





    ホットミルクでほっと一息


刹那と相部屋になって間もない頃だった。
夜になると、いったん布団に入るもしばらくしたらそそくさと部屋を出て行く。何度か何処に行ってるのか訊いてみたがにべもなくあしらわれた。
そんな時。
「刹那~、演習の報告書できた……」
ぐらり。
そのまま身体を傾げ、前のめりに倒れる。
「刹那!」
ぐったりとした刹那。下された診断は、寝不足、だった。訓練のデータ、健康状態のカルテを見ても、それらしいモノは出てこない。俺の証言と、死んだように眠る刹那からその診断は下された。
 朝には俺の起床前に起きて、準備を済ませている。――失態だ。相部屋でいながらこの時点になるまで何もしなかった自分が悔やまれる。
 メディカルルームから相部屋の自室に戻し、額に手をやる。ミス・スメラギからは原因をそれとなく探るように言われた。彼女自身も刹那を気を付けて見てくれるらしい。
 刹那の瞼がふるりと揺れた。マジかよ。まだ倒れてから一時間しか経ってないぜ。
「……あ、俺」
 予想通りに目を開く。状況を確認するように左右を見渡すと、無言で身体を起こした。
「待てよ。お前倒れたんだぞ? もう少し寝てろって」
「報告書ができていない」
「ミス・スメラギはいつでもいいって言ってたぞ。今は寝てろ」
「そう言う訳にはいかない」
 言葉では無理と悟った俺は力ずくで寝かそうと肩に手をかける。
「俺に触るな!」
 案の定と言うかなんと言うか……。なんか決め台詞みたいになっちまったな、その言葉。
「お前が寝るなら触らねえよ」
 不服そうに睨んでくる。畳み掛けるように俺は言葉を続けた。
「お前寝不足で倒れたんだよ。毎晩いったい何処で何してたんだよ」
「睡眠はとっていた。問題ない」
 問題ないなら倒れるかよ。まーったくこのきかん坊は。嘘だってバレバレだっつーの。
 ため息を吐いて訊く。
「何処でとってたんだ?」
 まあ、大体予想は付くけどな。
「……エクシアのコックピット」
「やっぱりか」
 このガンダムバカめ。どうせおやっさんが寝た後を見計らって整備してたんだろ。コックピットで寝たのもせいぜい数十分程だろうが。
 肩から手を離すと、俺は刹那の頭をぱしんと叩いた。
「おばか」
「誰がばかだ」
「俺の目の前で倒れた誰かさんだよ」
 むくれるように目を伏せる。こう言う表情は本当に年相応なんだけどなぁ。
「なんでここで寝ないんだ?」
 無言。このやろう、黙秘権なんてお前にはねえよ。
 俺は刹那のほっぺたを摘んで左右に引っ張る。むにーん。
「お、おりぇにふりぇるにゃ~!」
 おお、見事に何を言ってるか判らない。
「縦々、横々、丸描いてちょんちょん」
 刹那のほっぺたを縦と横に二回ずつ引っ張りぐりんと円を描き、片方ずつ離す。昔よく妹にやってたのを思い出す。妹と同じように顔の形を直すように頬を触る刹那を眺め、口調を変えて訊いてみる。
「なんで嫌なんだ? 相部屋だからか?」
 俺がいるから寝れないなら、相部屋を解消してもらえれば済む話だ。それを揶揄して語りかけるように言うと、刹那は考えるように目を伏せ、ぽつぽつと喋り始めた。
「別に、そういうんじゃない。……まとまった睡眠をとる事は稀だったし、慣れてないだけだ。あと……」
 言葉を探すように目を泳がすと、小さく頬を紅潮させた。
「寝たくないんだ。……夢を見るから」
「嫌な夢なのか?」
 刹那は首を振った。意外だ。悪夢を見るから寝たくないのかと思ったのに。
「すごく、良い夢なんだ。これ以上は機密事項だから言えない」
 そう言われるとこれ以上追求する訳にはいかねえなぁ。過去や素性に関することなんだろう。
 しかし、夢見が良すぎて寝たくないなんて、普通とは本当に逆な奴だよな。
 そこまで考えて、違うな、と思った。俺にも経験があるからだ。いつものように、母さんがいて、父さんがいて、エイミーがいて、ライルがいる。何もなかったように、笑顔で過ごしている。ああ、やっぱりあんなことはなかったんだ。これが俺の本当なんだ。……そう思って目が覚めると、自分と現実に絶望する。やっぱりテロがあって、俺は家を出て。夢が幸せな分だけ、かけ離れた現実に悲しくなるんだ。
「判ったら、どけ」
 ぼそり、と刹那が睨みつけてくる。でも、俺にはその目が泣き出しそうに見えた。なんとかしてやりたい。そう思って、俺は刹那の腕を取って部屋を飛び出る。
「ロックオン!?」
 抵抗するように腕を振る刹那に、鬱陶しくなり腰から抱きかかえるように脇に掲げる。とりあえず、寝れないお子様に思いつく物はアレしかなかった。
「なんなんだ、いったい!」
 問答無用で食堂へと連れ込んだ俺に、刹那は体中で反抗した。その頭に乱暴に手を置く。
「ちょっと待ってろ。イイモノ持って来てやるから」
「報告書が……」
「明日でいい」
 そのまま調理場に足を向ける。刹那の性格上、俺を放って部屋に戻る事はないだろう。
 手早く調理を終え、刹那の元に戻る。刹那は不満そうに、でも律儀に椅子に座っていた。
「ほら、これ」
 俺の手にあるものを珍しそうにまじまじと見、そうっと受け取る。
「これは?」
「ロックオン・ストラトス特製、ホットミルクだ。ゆっくり飲め」
 そう、母さんがよく寝れない夜に作ってくれた。ミルクを人肌くらいまで温め、少し蜂蜜を入れる。甘くて刹那好みだし、普段からミルクを良く飲んでる刹那には打ってつけだ。
 ちびり、と口の端に含ませるように飲み、ほうっと息をつく。
「どうだ、落ち着くだろう?」
 横目で俺を少し見ると、無言でゆっくりミルクを飲み下す。あやすように頭を撫でる。機嫌がいいのか拒否はされなかった。
「それ飲んで、眠くなるまで話をしよう。ここで寝ても、部屋まで連れてってやるから」
 ふよん、と頷くように頭のアンテナが揺れる。これで寝れなかったら、添い寝するしかねえな。
 そんな心配は無用だった。ミルクを飲み終えた刹那は、二言三言だけ話すと、うとうとと舟を漕ぎだした。
 そうっと抱きかかえると、熟睡しているのか無防備に身体を預けてくる。
「まったく、こいつは面倒だな」
 苦笑がてらそう言うと、肯定するかのようにかくんと首を倒す。これだけだと可愛いんだけどなあ。
 まあ、可愛い子ほど手がかかるって言うし、とりあえず今夜安らかにこいつが寝れるなら、これだけの手間なら歓迎モンだ。
 そっと部屋まで戻ると、ベッドに寝かす。
「おやすみ、いい夢を」
 おっと、いい夢見すぎて寝れないんだったな。
 なら、もう夢なんか見ずに朝までどうか安らかに。
 
 おやすみ、刹那。





********

この話を書きながら、こんなんで寝れたら苦労しねーよ
的な事を考えた私は完全に負け組みです。
でも刹那にはしっかり寝て欲しい。
ついでに兄貴の添い寝付きd……(強制終了)

********
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