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最近”腐”の道に進みつつある女子
マイペースに更新していきます。
兄貴が怪我した夜です。
次の日くらいに初トランザム始動な感じで。
久しぶりにマトモです。
ロクは刹那に恋してるけど刹那はどうなんだ、と言った感じ。
多分好きです。大事には思ってる。
なんかこの辺りで二人とも予感みたいなのがあって不安になった感じ。
まあここらでつづきからどうぞー。
『約束』
部屋の明かりが煌々と照っている。窓の外は一面の星。地上では決して見ることの出来ない満面の世界が広がっている。
ロックオン・ストラトスは細かい部品を丁寧に並べ、銃の細部の埃をはらっていた。
本来は手入れする事のない愛機、デュメナスの機械の細部。いつもはこんな所まで手入れはしない。しても優秀な整備士がトレミーにはいる。
しかし、ロックオンは自分の手で、こんな細かいところまで手入れをしている。
それは今の状況を物語っていた。
そして、ロックオン自身の心情も。
ふっと軽く息を吹きかけると、見えるか見えないかの塵が舞う。
刷毛で隅々まで丹念にごみを取り除いていく。
大体の部品がベッドの上に並んでくると、地上ではもう夜が明ける時間となろうとしていた。
「うわ、やべ……」
睡眠不足は次のミッションにも大きく影響する。最近はトリニティや地球の面々との内情も悪化した。擬似太陽炉は敵の手に渡り、機体の優位性は消えた。
その上ロックオンの身体には、多数の包帯で巻かれていた。そして右目には眼帯。
痛みは鎮痛剤で消えているとはいえ、そのせいでどうしても動作が散漫になる。
効き目をやられているのも、痛い。
早々に器具を片付けて休もうと、手を動かす。カチャカチャ、と鉄器の重なり合う音が部屋に響いた。
ふいに、ピー、と機械音で入室許可を求める音がした。
こんな遅くに誰だろう、とベッドから降りる。
ウインドウの向こうには、硬い表情の刹那・F・セイエイの姿を認めると、薄く驚いたような表情を見せる。
しかし数瞬後にはその表情は消え、いつもの和やかな微笑を浮かべた。
シュン、と軽い音を立て、ドアを開ける。
「よう、どうした」
いつもいつも手間ばかりをかけるきかん坊。そんな彼に、ロックオンは一種の恋情を抱いている。
それを知ってか知らずか、この少年は硬い表情を崩さずいつもの調子で無表情に言った。
「まだ起きていたのか」
「お互い様だろ? 大体尋ねて来たって事はあらかた予想はついてたんじゃねえの?」
そう言うと、苦笑のように曖昧に口元を緩めた。
「……入ってもいいか?」
「もちろん。ミルクはないが、歓迎するぜ」
部屋に促すように身体を動かすと、ひとつだけ頷いて刹那は部屋に足を踏み入れた。
そう言えば刹那を自室に招くのは初めてだ。地上でも宇宙でも、部屋に行くのはいつもロックオンだった。
「汚れてて悪いな」
「気にしない。……一度、あんたの部屋は見ておきたかった」
その表情に一瞬ドキリとする。愁いを帯びた、何かを堪えたような瞳。
気付かない振りをしてベッドの上においた銃器を端に寄せる。
「まあ座れよ」
うつむき加減で座る刹那をみて、妙な気分になってきた。しかし、いつもならやり過ごせる感情なので、気にしないようにして隣に座る。
頭ひとつ分小さい刹那を見て、できるだけ優しく声をかける。
「明日から、地上に行くんだろ? しっかり休まないと駄目だぞ」
「ミッションに出る前に、あんたに会っときたかった」
どういう意味だろう、と頭の中で反芻する。
顔を上げない彼を上から眺めると、色の良いうなじが目に入った。
妙に心拍数が上がってくる。
今なら肩を抱いても怒られないだろうか、と腕を動かした時。
「ロックオン」
ビクリ、と心臓が飛び出すかと思った。冷静を装って下を向く。
真摯な眼が、あった。
「帰ってくるから」
強い光を宿して刹那が言う。
「答えを見つけて、帰ってくるから。だから……」
瞳が揺れる。
「待っていてくれ」
声が若干震えながらも、刹那ははっきり最後まで言い切った。
無事で、どうか無事で。
そんな気持ちが手に取るように伝わってくる。
『治療はなしだ』
痛みをやせ我慢し、そう言った時、刹那は何も言わなかった。
ただ、紅く大きな瞳が、一瞬揺れただけ。
今も、大きく揺れ動く気持ちを押さえつけ、まっすぐに自分を見ている。
自然と笑みが零れた。
「ああ」
力を貰ったように、ロックオンが大きく頷いた。
まだ、戦える。
「ずっと待ってる。だから、ここに帰ってこい」
くしゃり、と髪をなでる。
「また、髪を切ってやるからな。伸びてきただろ?」
そう言って頭を撫で回す。
「頼む」
笑顔で応える刹那に、ロックオンは何者にも勝てるような気がした。
約束、したのに。
待ってるって言ったのに。
ごめんな、刹那――――――――――――。
≪終≫