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晴れの国在住。
最近”腐”の道に進みつつある女子
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2009/09/28 (Mon)
私書き溜めて一気にうpするのがくせなので少し前にはできてました。
ただ色々あって放置気味でした、すみません。

ニル刹パラレル第3話です。
もうちょっと刹那のツン期を長くするつもりだったのですが、異様に早くデレてしまいました。
まあいっか。

あー、サイトの小説更新するの超久々かも。
長い間放置してスミマセンでした。

つづきからどうぞー

[3] 信頼と言う言葉は知らない

 刹那はロックオンを観察していた。
 基本的に彼は笑顔しか刹那に向けない。しかし、時折鋭い瞳で空を見上げている時がある。瞳の奥に凶暴な炎をチラつかせ、まるで敵でも見るかのように雨粒の落ち行く根源を見上げている。
 刹那は、ロックオンの本名を知らない。しかし、それはどうでもいいことだった。刹那自身も本名を告げていないし、それよりもロックオンの心中を図りかねていたからだ。
 刹那は、利益もないのに動く人間はいないと考える。
 自分になんの得もないのに行動する人間はまずいない。だから彼も心の中で必ず何かを図っているはずだ。
 それを読み取ろうと、刹那はロックオンを観察した。
 観察して、判ったこと判らなかったこと。それなりに色々あるが、ひとつ衝撃だったのは、ロックオンも刹那と同じ、という事だった。
 おそらく、心に深い闇を飼っている。そして――――おそらく、彼も人を手にかけた事があるだろう、という事。
 これは彼と生活をして一週間でもう疑惑から確信まで進んでいた。
 まず、気配が薄い。
 一般人に気付かれないようによく喋るようにしているが、突然背後に立っている、という事が多々ある。
 そして、三日に一日くらい、バイトと称してどこかへ出かける。
 最初は本当に仕事だと思った。
 しかし帰ってきた彼は殺人者特有の匂いを纏っていた。
 

………………………
……………………………………。


 サアサアと霧雨のような雨が降っている。
 現在時刻は7時前。ロックオンの言葉ではそろそろ学校生活は終了するはずだ。
 5時までの授業、7時まで部活。ロックオンは射撃部、という所に所属しているらしい。
 それを聞いたとき、思わず言ってしまった。
「ぴったりだな」
と。
それを聞いた彼は曖昧な表情をしていたが、恐らく心中では少し動揺したらしい。
早々に話を切り上げ、他の話題へと話を移した。
刹那は時計を見上げた。もう7時まで5分もない。
「ただいまー!」
 ビクリと身体を震わせる。いきなり響いた声に驚いたからだ。
 ベッドから起きだし、玄関へと駆ける。
 出迎えに出た刹那に、ロックオンは顔を綻ばせた。
「どうした? やっと俺に心を開いてくれたのか?」
「今日は仕事はあるか?」
 質問には返事をせずそう問う刹那に、買い物袋を抱えた彼は不思議そうな顔をした。
「うん? 今日はないけど? どうした?」
 表情を変えず、小さく息を吸い込む。
「今度あるときは、俺も連れて行って欲しい。接近戦なら力になれる筈だ」
 一息で言い切った刹那は、ロックオンの瞳の奥を覗き込むように正面から見つめた。彼の瞳に動揺が浮かんだ。
コチ、コチと時計が音を刻む。鳩時計が7時を告げた。
「駄目か?」
「いや、駄目って言うか……」
 言葉を捜すように目を泳がすロックオンに、刹那は目を鋭くした。
「お前は、スナイパーだろう」
 確信を持った言葉。ロックオンはぎょ、としたように刹那を見た。
 頭を掻きながら目を逸らす。
「射撃部とは言ったけどさ……」
「しかし、実際にも人を撃っている」
「何を根拠に! 刹那、まだ本調子じゃないんだろ? 部屋にいろよ」
 刹那はロックオンの胸元を掴むと、ぐい、引き寄せた。
「根拠ならある」
 飴色の瞳が鋭さを増す。目が離せず、ロックオンは静かに息を飲んだ。
「俺も、同類だからだ」
 碧色の目がわずかに見開かれた。目を離せずに瞠目する彼を瞳に映し、刹那は言葉を続けた。
「同種の匂いは、すぐ判る」
 緊張した空気が辺りを包んだ。張り詰めた世界。切れそうな糸のように。
「く……ふふふふ」
 突然ロックオンは手を額に当て、笑い出した。
 驚いたような目をする刹那に、彼は満面の笑顔でガシガシと頭を撫でた。
「かなり凝った演出だったな。ただちょっと悪趣味だぞ?」
「何を……」
 ひょい、と刹那を抱えあげ、ロックオンは荷物を持って玄関から台所へと歩を進めた。
「おい!」
「人殺しだとしたら、俺か追い出すとでも思ったか? そうまでしてここにいたくない?」
「……は?」
「そういう話は、もうちょっと大人になってからにしろ。俺はお前を戦わせる気なんかないぜ」
 いったん、言葉を区切り、彼は続けた。
「たとえ、もし本当に俺がスナイパーだったとしてもな」
その言葉に、刹那は表情を曇らせる。
「俺は、お前を信用する事はできない」
「うん?」
「俺は、何もできないから。戦う事しかできないから」
 足を止めて、刹那の顔を見る。
「信用する事も、できないから」
感謝がないわけじゃない。
 嬉しくないわけじゃない。
 ただ、信じられなくて。
 こんな優しさが現実か判らなくて。
 だけど、刹那はロックオンと生活している。
 ロックオンの作ったものを食べ、ロックオンの買った服を着、ロックオンの与えてくれたベッドで寝ている。
 信用しないんじゃない。信用できない。
 なのに、当たり前に与えられたものは利用している。
 こんな自分が、許せない。
 こんな浅ましい自分が。
 唇を噛み、黙ってしまった刹那を、ロックオンは静かに見ていた。
 無言の時間が痛かった。
 出て行け、そう言われるのは当たり前だ。
 他人を利用しない人間はいない。
 それは逆を返せば利用できない人間はいらないという事。
 利用されている。それが判って、利用されるために、必要とされるために役に立とうとしていた。
「刹那」
 紅い瞳が、揺れた。
「言っただろ、刹那。刹那に俺が構うのは刹那のためじゃない。俺のためなんだ」
「……意味が、判らない」
 ロックオンは荷物を置くと刹那を抱き締めるように頭に手を置いた。
 この数日で、なんどもした仕草。
 優しく刹那の癖毛を梳くように、頭を撫でる。
 ちゃんと髪を洗ってやると、意外と髪質は柔らかい。
 ふわふわと揺れる髪を見ながら、ロックオンはなんでもないことのように言った。
「刹那がいてくれるだけで、俺には嬉しいんだ」
「なんで……」
「ま、俺にも色々あるって事。最近家族が出て行ってたまたま家が広くなったし、猫が一匹増えても苦にならないから、しっかり世話を焼かれてくれよな」
 茶目っ気のある顔でそう言うと、この話は終わりとばかり刹那を降ろした。
「さーて、今日の晩飯はなんにしようか。刹那はあんま洋食慣れてなさそうだから、中華なんてどうだ?」
 壁からエプロンを取り、そう言うロックオンに、刹那は小さい声で呼びかけた。
「ガリーエ・マーヒー。……魚のシチューが食べたい」
 ピタリと立ち止まり、笑顔で振り向く。
「おっけー。最高に美味しいの作ってやるよ」
 キッチンに消えるロックオンの背中を見つめながら、刹那は微かに見えた彼の傷を思った。
 家族が出て行った。
 あの時、ロックオンの目に少しだが陰が落ちた。
 自分がロックオンの家族になれるかは判らないけど、彼が望むのならなんでもしよう。
 刹那は実はここに留まるのが不安だった。
 いまでも、常に見張られている感覚は拭えない。
 どこかえ逃げないといけないような気がする。
 だけど。
 必要としてくれる人がいる。
 ならば、ここにいよう。
 そしてそのうちに、ロックオンにもあった「いろいろ」を教えて欲しい。
 鼻歌と一緒に聞こえ出した包丁の音を聞きながら、刹那は一度だけ後ろを振り返り、彼の傍へと足を進めた。

 

*********

あれ?意外と短かった;;
ここからラブコメに行くか、シリアスに行くか
うーん・・・…
ちなみに次の話は完全にネタです

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