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最近”腐”の道に進みつつある女子
マイペースに更新していきます。
今回は酒ネタです。
これ書いてたときはホントまだ青かった……(遠い目)
べろちゅーに戸惑ってましたもん(笑)
ではつづきからどぞー
草木も眠る丑三つ時。金色の髪を布団に沈め、ライル=エルウッドも深い眠りの中にいた。
昼間のパン作り、喰退治、親友の捜索により、熱帯夜にも負けずすぅすぅと安定した呼吸を漏らす。
口元が僅かに歪む。綺麗な弧を描いていた眉が寄せられ閉じた瞼が震える。
「い……か…げんに――いい加減にしろー!」
そこまで言うと、はっと目を見開いた。
暫く天井を見詰めたまま、肩での呼吸を繰り返す。
「ゆ……め……?」
汗ばんだ布団から体を起こし大きく、大きく息を吐いた。
「夢にまで出てきたのかあの馬鹿は」
少々うんざりした様子である。顔が僅かに紅潮していた。
酷く、喉が渇いていた。
手探りで蝋燭とマッチを探す。灯りをつけ、水を飲もうと立ち上がった。
ドアを開けると、ぼそぼそと、とても小さな話し声が聞こえた。
時刻は深夜。誰も起きていない時刻。
ライルの背中に氷解が滑り落ちた。
妖か、物の怪か。ミッドナイトとは時刻はずれるが、兎に角今は幽霊の真昼な時間帯だ。
ライルはいままでその類のものと対面したことはないが、喰もいることだしそんなものがいてもおかしく感じることはないだろう。
(大丈夫、喰だって人間外の生物だ)
自分の心を懸命に静める。
一歩、一歩と足を進めた。徐々に話し声は大きくなっていく。
「ですから……だと……」
途切れ途切れだが、言葉を認識できるようになってくるとライルは声の主が同居人だとわかった。腹黒魔人、アルドの声に聞こえる。
(なんだ、アルドか)
こんな時間になにやっているんだかとは思ったが、安心して足を速めた。
「あー、先輩は頭固いですからねぇ」
(俺の話題か?)
「ですから、やっぱり押して押して押しまくるのがいいんじゃないですか?」
その言葉を聞いて、ふとライルは嫌な予感がした。
同居人の中でも、こんな時刻に起きてそうな人物は限られてくる。
そしてアルドの声はとても楽しそうだ。
自分の会話。
この時刻。
押して押して押しまくる。
ぼうっと、障子から微かな明かりが漏れている。
障子の前に立ち、もうひとりの人物の声を聞いて、ライルの予感は確信に変わった。
(妖怪の方が良かった)
心の中で嘆く。
「でもねぇ、僕は普段から押してるんだよ。でもライルから来てくれたことは一度もないんだよねぇ」
当たり前だ。俺にはそういう趣味はない。
脳内でライルは反論した。
もうひとりの声は、先ほど夢にまで出てきたライルが大の苦手とする男、ジルベルト=ジーリだった。
「ぶっちゃけ先輩もジルさんのこと悪くは思ってないと思いますよ? むしろアレな感じですし」
ふざけんな、そんな気持ちはこれぽっちもないぞ。
「ん~、そうだと嬉しいけどね。僕としてはこれからも積極的にアプローチを!」
しなくていい。頼むからしないでくれ。
「たまには引いてみたらどうですか?」
ああ、それは嬉しいな。
「あー、ライルがどんな反応をするかが見てみいねぇ」
とても喜ぶと思うぞ。
アルドとジルベルトの言葉に徐々に苛立ちを感じる。このまま回れ右をしようかとも思ったが、自分の感情が収まらない。ぷつぷつと、血管に力が入る。
「もう襲っちゃうしかないですよ。今爆睡中だと思うんで、行ってみたらどうですか?」
「悪いが、爆睡中じゃないんだ。てかお前ら何をやっているんだ!」
「あ、先輩」
障子を開けて姿を見ると、彼等は杯を交し合っていた。
「こら、未成年」
つかつかとアルドに歩み寄り、グラスを奪う。
「先輩も飲みます~?」
アルドは赤い顔をにまぁと笑わせながらボトルを差し出す。
「ふざけんな、酒煙草は二十歳になってからだ」
「すいません、この時代はそんな法律ないですから」
「さらりと全ての前提を壊しそうな発言をするな」
「まあまあ、ライル。君も一緒に飲もうよ」
くすくすと実に楽しそうな顔で、ジルベルトが間に割って入った。
「ジルベルト。子どもに飲ましたらだめだぞ」
「大人と一緒の仕事に就いてるんだから、飲んでもいいじゃない。付き合い付き合い」
「お前等なあ」
はあっ、っと大きな息を吐き、ライルはグラスを卓袱台に置く。素早くアルドはグラスを取り戻した。
「あ、こら…」
「つーかまーえたっ」
「!」
油断した途端にライルはジルベルトの腕の中に引き込まれた。いきなりのことで思考が停止する。
ジルベルトの胸をが頬に当たる。アルコールのせいか、温かくて気持ちいい。
「おま…、離せ…」
顔を真っ赤にしてそれだけを言う。
「ダーメ」
心拍が急激に上がってくる。そんなことは夢にも思わないジルベルトはより力を込めてくる。
バクバクと心の臓が音を立てる。頭の中は真っ白になり、反発するなんて考えはとてもではないが浮かばない。
「あれあれ~? どうしたんですか、先輩?」
アルドが楽しそうに顔を覗き込む。赤面した顔を見られたくなくてライルはジルベルトの胸に頭を埋める。
「ライル?」
「……うるさい。早く離せ」
自分だけこんな状態なのは非常に悔しい。しかし感情だけはどうにもならない。
「え?」
ジルベルトは突然ライルの脇に両腕を差し入れ上向きにさせた。逆様にジルベルトの顔が目の前に迫る。心拍数が20程上がった気がした。
ちょうど膝枕をされたような状態で、ライルは寝転がる。
「ちょ……」
「飲む?」
いきなりグラスを差し出される。一瞬何のことか判らなかった。