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晴れの国在住。
最近”腐”の道に進みつつある女子
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2009/07/20 (Mon)
これで今までストックで貯めてたよろずの長編は全部です、つながってるのはね。
さわりとかは少し書いてるんですが、いかんせん、どうも……ううん。






年齢がね。


まあこれは目覚めてきた頃なんで無駄にがんばってますがまだアリーさんの小説は書いてなかったと思うので卵の中で殻を突いている雛状態ですね。
じたばたじたばた。

とりあえず続きからどぞー

「ラ~イル♪」
「げ、ジルベルト」
 ノックの後に灰色の髪を持つ青年、ジルベルト=ジーリが顔を出すと、蒼い瞳を思い切り嫌そうに歪め、ライル=エルウッドは言った。
「げ、って何なかぁ~。ねぇ、何かなぁ~」
 笑みの形を崩さず、ジルベルトはライルに歩み寄る。傍まで来ると、くい、と顎を摘み上げた。
 ライルの顔が一気に朱と化す。
「何想像した?」
 すぅ、と目を細め、ライルの目を捕える。金縛りに遭ったように、ライルは動くことが出来ない。
「なんなら、今すぐしてあげようか?」
 顔をすぐ近くまで近づける。ライルはぎゅっと目を瞑った。
 その様子を見て、ジルベルトは薄く笑うと、ふっと彼の耳に息を吹きかけた。
「うあぁっ!」
 耳を押さえてライルは身体を仰け反らせた。涙目でジルベルトを見詰め、肩で息をする。
「お…前なぁ……っ! ~~~~~っ!!」
 くすくすと笑うジルベルト。ライルは言葉を探して口を開閉させる。
「お前っ、ちょ…。あー、もうドアぐらい閉めろ!」
 きょとん、と目を丸くする。ライルは腕を振りながら抗議した。
「誰かに見られたらどうするんだ。部屋に入ったらドアは閉めろ!」
 部屋のドアは全開だった。ジルベルトは納得したようにドアを見ると、閉めるべくそちらへ向かった。
ライルは全身を使って息を吐く。黄金の髪を掻き揚げ、ジルベルトを半眼でねめつける。
「で、何しにきたんだ? まさかそういうことをするためだけに来たわけじゃないだろ?」
ドアを閉めながらジルベルトは返事を返す。
「うん、それだけでも別に良いんだけどね。これ」
後ろに隠していた右手をライルに見せる。その手には「温泉旅行」と書かれている紙があった。
「お…んせん?」
 ライルは紙を受け取ると、食い入るようにそれを見詰める。
「昨日イエズス会でビンゴ大会があってね、優勝してきました」
じっと、温泉絵が描かれた紙を目でなぞっていく。場所はすぐ近くだった。
「これ……」
「行かない?」
「行く…、行くぞ! これ、本当に貰って良いのか?」
「貰うって言うか、僕も行くから」
 ライルが音を立てて固まった。
 緩慢に首を動かしてジルベルトを見る。ジルベルトはにっこりと悪魔の微笑を浮かべた。
「ライルと一緒に行きたくて、とってきたんだよ?」
ライルは頭の中で、必死に考えていた。
ジルベルトと温泉に行くということは、彼とともに風呂に入るということだ。基本日本の風呂は水着や手拭の着用はない。どちらかというと、「裸の付き合い」というものを重視する。手拭で身体を隠すことを拒否するところもある。水着などはもうマナー違反である。
今までの経緯で判るように、彼はライルに好意を寄せている。ついでに言うと、かなりの勢いで迫ってきていたりもする。そんな彼と一緒に風呂に入るなど、何か間違いが起きても不思議ではないとは思わないほうがおかしいであろう。
黙ってしまったライルの手から、ジルベルトは用紙を取り上げた。
「嫌ならいいんだよ? アルドと行くから」
「あ、ちょ…ちょっと待ってくれ!」
 温泉には行きたい。非常に行きたい。しかし、この問題はどうすれば。
 思わずジルベルトの服にしがみつく。そんなライルを、ジルベルトは嬉しそうに見て笑う。
「なーんてね」
ジルベルトは再びライルの手元に用紙を戻した。
「よく見てごらんよ」
「へ?」
 ジルベルトが指差す先には「対象者は三名様まで」と書いてあった。
「三名? ってことは…」
 二人きりなら無理やりに事を為すことはできる。しかし部外者がいればムードも下がるし大変やり辛いものがある。危険度はかなりの確立で下がるだろう。
(じゃあ、リタやマリエッタのような常識人を!)
「そ、心配しなくてもアルドも一緒に行けるって事」
「…………え?」
 ライルは頬に冷や汗を垂らし、ジルベルトを見上げた。
「男二人に女一人だと世間的にヤバイでしょ。じゃあ、残りはアルドだね?」
 確かに! 確かに世間的にはそれはヤバイけど! 現実的にはそっちの方がヤバイ!
 なんとかイイ口実を作ろうと必死になる。目を泳がせながら、ライルは抗議の声をあげた。
「しかしだな、一緒に住んでいる時点で……」
「リタやマリエッタに僕たちの関係を知られてもいいんだ?」
「…………ッ‼」
 確かにそれはまずい。こんなことが世間に広まればもう俺は外を歩けないッ!
 ライルの頭は困惑で満ちていた。
 実際は、既に鎮紅とマリエッタには薄々感づかれているが、それをライルは知らない。
「いいじゃない、元々相思相愛の仲なんだし」
 ライルの肩に手を回し、ジルベルトはきゅっと彼を抱きしめる。
 ジルベルトの胸が背中にまわり、彼の心臓は一気に脈打ち出した。
「だ・れ・が」
 恥ずかしさと困惑とでいっぱいになったライルの脳みそはプツン、と音を立てる。
「相思相愛の仲だぁ!」
 そのまま勢いに任せ、ジルベルトの胸倉を掴みそのまま一本背負い(脳天落下型受身不可)をしてみせた。
「ライル、いきなり一本背負いは反則……っ」
 揺れる脳みそを落ち着かせながら、ジルベルトはぐう、と呻いた。
「痛ぅ……。じゃ、ライル。出発は明日の朝だから、準備よろしく」
「え…、あ! ちょっと、おい!」
 決めかねているライルをおいて、ジルベルトはさっさと部屋を後にする。
 ライルは実は優柔不断なので、こうでもしないと決断できないであろう。ジルベルトの行動は、ある意味正しい。
 ライルは体中が萎みそうなくらい大きく息を吐いた。
「しかたないな…」
 とは言っても、温泉が非常に楽しみなのは確かだ。一度ジルベルトたちが来る前に薙刃、迅伐、鎮紅と行ったときにはとてもじゃないけどゆっくり浸かれなかった。今回はその心配はなさそうなので、そこはしっかり楽しみたい。
 したから大声が聞こえてきた。
 きっとジルベルトが皆に旅行のことを話したのだろう。
 いいな~、とずるい~、が同時に聞こえる。
「ま、たまにだし。楽しませてもらうか!」
 ライルは勢いをつけ、箪笥の引き出しを開けた。

 

 

 

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