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最近”腐”の道に進みつつある女子
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2010/11/30 (Tue)
うわー;;
二週間も放置してました。
ごめんなさいっ|||orz||

なんかね、ここ二週間本当にすごく寝がよくて……ついったもあまり立ち上げられずずっと布団にいました。
しかもまじで意識がない、どうしたんだ、私。





で、夜中にギタ子さんにメールを送って。
「なんかお題出してー」
とムチャ振りをかましたんですが、11月29日でいい肉の日だから肉ネタで、ってお題を貰ってました。
てな訳で一日遅れましたが肉にまつわる小話です。
最初はマイスターたちで焼肉でもしようかと思ったんですが書いているうちにあれよあれよと訳判らん方向に……あちゃー(ノ∀`)
とりあえず、いつも通りです、ということで。


おーきーいことはーいいーことだー


つづきからどぞ





 目の前で鉄板が真っ赤に焼けている。
 刹那はその光景を見ながら目を凝らした。
 1センチ以上もあろうかと言うほどの生肉が現れる。
 こく、と刹那の喉仏が動いた。
 じゅわ、と音を立て、鉄板の上に肉が乗せられた。その後に軽快なメロディーと台詞が流れる。
『11月29日はいい肉の日! い・い・に・く! H急デパートでは各地からの贅沢なお肉が大集合! 明日はぜひお越しくださいっ!』
 そこで刹那はふと首を傾けた。
「いい肉?」
 刹那はいままで食事に関しては栄養さえ取れれば何でも構わない、といった姿勢だったし、特に趣向もなく、手元にあるもので済ませていた。
 最近は手元に金があるのと、鬱陶しい年長の同僚のせいで食事には味があるものだとようやく認識し始めたくらいだ。
 だから、どんな物がいい肉でどんな物が悪い肉なのかとは区別がつかない。
 しかしCMで流れていた肉は確かに美味そうではあった。
(新鮮、ということか? それとも、量……?)
 いい野菜は大体見れば判る。瑞々しかったり、たとえばほうれん草なら葉がしなびていないとか、そういう事。
 いい魚もわかる。いや、正確な見分け方は知らないが、大体見たら新鮮だとか、活きがいいとか。なんとなく。
 でも、肉は?
 肉はどこまでいっても肉だ。確かに、買うときは新鮮そうなのを買うが、さっきのCMに出ていた肉は、それだけではなさそうだった。
 なんというか、あんな肉は初めてみた。
 本当に、肉塊といっても差し支えないほど分厚くて、綺麗な色で。
 あんな肉は生活をする上で見たことがない。そう思った。
(あれが……、いい肉?)
 CMが終わり、なんとなくつけていたバライティ番組が始まってもなお、刹那の頭からはあのCMが流れていた。

 

 呼びもしないのに次の日には律儀に8つ年の離れた恋人が刹那の生活を正しに買い物袋と共に刹那の家へとやってきた。
「刹那、昨日は何食べた?」
「昨日はだるかったから、サプリメントで済ませた」
「こら! 面倒臭くてもちゃんと食事取れっていっつも言ってるだろ! いい加減にしないとサプリメント没収するぞ!」
 面倒臭くも適当に流しながら部屋に入る。慌てたように彼は靴を脱いで刹那の後を追った。
「最近健康重視にしてたら野菜ばっかりになったからさー。今日は焼肉の元を買ってきたぞ。ほら、今日は肉の日だし」
 ぴくん、と刹那の頭が反応した。
「でも2人で肉焼ってちょっと寂しいよなー。アレルヤたちも呼べばよかったかな。でもそしたらあとのお楽しみの時間が……」
 むむぅ、と唸ったロックオンは、刹那の瞳が自分の方に向いているのを見て、きょとんと首をかしげた。
「どした? 刹那」
「……いい肉を買ってきたのか?」
 刹那の目線が紙袋へと向けられる。
「そりゃ、そこそこいいやつ買ってきたけどさ。ん? やっぱり肉は好きか?」
 ロックオンの返事を待たずに刹那は彼の手の中にあった紙袋を漁りだした。
「刹那?」
 肉のパッケージを見つけて引っ張り出す。そこにあった肉は昨日テレビで見た肉とは大きさも色彩も違っていた。
「これは……」
「ちょっと奮発したんだぞ。美味そうだろ」
 満面の笑みで笑うロックオンを見ていたら明らかに「コレはいい肉ではない」とは言えなかったが、期待した肉と違う事に多少ながらも落胆した。
「刹那? なんかあったのか?」
 口に出さなかったのに彼は目聡く刹那の変化を見分ける。
「肉、嫌いとか?」
 そう言えば刹那の出身地は宗教的にもあまり動物を食べる事がない。刹那自身無神論者であり、トレミーの食事にも文句が言った事がない事から忘れられがちだがやはり肉を食べる事には躊躇するのかもしれない。
 そう考えたロックオンはしまったと紙袋を見た。
「えっと、やっぱり献立変えようか……」
 はっと刹那はロックオンの顔を見て首を振った。
「かまわない」
「でも……」
「肉が嫌いなわけじゃない。気にするな」
 そう言って刹那は部屋の奥へと入っていく。
 いつもと若干様子の違う刹那の背中を見て、ロックオンは首を傾げた。
「なんなら、沙慈くんたちも呼ぼうか」
刹那の反応を伺いながら、ロックオンは一番奥の部屋へと荷物を置いた。
「別にどっちでも……」
 言葉の途中で刹那ははっとテレビを振り返る。何事かと目を見張ったロックオンを他所に、昨日と同じ肉のCMが流れ出す。
「おお……」
 思わず感嘆の声を漏らす刹那に、すべて合点がいったとロックオンは吹き出した。
「ロックオン?」
 CMに気が向きながらも、いきなり笑い出したロックオンに刹那は目を向ける。
「刹那、今日は外に食べに行こう」
 ひぃひぃと笑いながらロックオンは刹那の頭を叩いた。
「……え?」
「ステーキ、食べたいんだろ?」
「す……てき?」
 きょとんとした顔で刹那が首を傾げる。
「そりゃ俺のことだ、刹那。ステーキ。分厚い肉が食いたいんだろ?」
 よ、と声を出してロックオンは立ち上がる。
「あんな高そうな肉は無理かもしれないけど、それなりに美味いトコ知ってるから」
 刹那が外でないから俺が外でて探したんだぞ、と腰を曲げて刹那の顔をのぞきこむ。
「でも、食材が……」
「トレミーに持って帰ったらミス・スメラギが酒の肴にしてくれるって」
 そんなことより、とロックオンは目を和ます。
「刹那が食事に関心を持ってくれた事が、俺は嬉しいね」
 今まではホットドックとかサプリメントとかジャンクフードばっかりだったからな。
 そう言ってロックオンは手を伸ばした。
「刹那、行こ?」
 一瞬まだ迷ったような顔をしたが、刹那は素直にロックオンの手を取った。

 

「……おお」
 目の前の肉を目にして、刹那が目を輝かせる。
 目の前には鉄板の上で湯気を立てて焼きあがる一塊の肉。もちろん、中はミディアム・レア。
「さ、刹那。食おうぜ」
 始めてみる肉の塊に興奮を隠せない刹那を嬉しそうに眺め、ロックオンはフォークを取った。それに真似るように、刹那も両手を確認しながらフォークを掴む。
 ロックオンの様子を時々伺い、確認しながら刹那も慎重にステーキを切っていく。
 フォークを突き刺し、ナイフを切り込む時も、肉は中から肉汁を出しつつするりと綺麗に切れる。口に入れると、熱々の汁が肉の細胞の間から染み出るように口中に広がっていく。香ばしい臭いを満喫しながら噛み砕くと筋は一切なく、舌の上で溶けだす。デミグラスソースの味も絶妙で、脂の乗った肉としっかり炒めた玉ねぎの香りと、全てにおいて食欲を更に引き出した。
 こくん、と飲み込んで、刹那は一言、これ以上なく的確で、そしてそれ以外言いようのない言葉を言った。
「美味しい」
「そりゃ良かった」
 もくもくと刹那を見守りながら見ていたロックオンは、目元を和ませて自分も目の前の肉を口の中に入れる。
「こんな肉の塊を食べたのは初めてだ」
「刹那って肉って言ったらホットドックのウインナーくらいしか食べてないもんなぁ。世の中には美味い物はいっぱいあるんだ。これからもっと教えてやるからな」
 ロックオンは満面の笑みで刹那の頭を撫でる。
 刹那は夢中になって箸を動かした。1時間も後には、すべて食べ終わった食器が片付けられていく。
「こういうのを、いい肉、って言うのか?」
 刹那の発言に、コーヒーにミルクを入れていたロックオンは首をかしげた。
「まあ、ここのは結構美味い肉を使ってると思うけど」
「いい肉って言うのは、普通に売っているのか?」
「そりゃ、まあ」
「そうか」
 目元に皺を寄せ、刹那はうんうんと頷いた。
「今度スーパーに行ったら確認をしてみる」
「ここの店と同じ味を出すのは無理かもしれないけどな、ステーキ肉とかはH急なら結構幅広く売ってるはずだぞ?」
「どうやって見分けるんだ?」
「そうだなー」
 ミルクを混ぜたコーヒーを一口啜り、ロックオンは天井を仰いだ。
「一般的には、脂が霜降り状になってるのがいいとか、赤みが綺麗なピンク色のがいいとか、そんなトコか? あと賞味期限は確認必須だな」
「肉にも種類があるんだな」
 そう言ってほう、とため息を漏らす刹那を見て、ロックオンは苦笑した。
「そりゃなんでもいいやつとわるいやつとあるさ。小麦粉だって、新しい物がいいし、値段だって高い物から安い物まであるしな」
 好みは各々であるけど。ロックオンはそう言ってスプーンを手の平で廻す。
「新鮮なのは野菜と魚くらいだろうと思ってた」
「まあそこらへんが判別しやすいからな。見た目にちゃんとでる。でも肉だって変色するし、刹那の大好きな牛乳だってすっぱくなるだろ?」
「え? 牛乳ってすっぱくなったら駄目なのか?」
 その言葉に、ロックオンは飲みかけのコーヒーを軽く吹いた。
「……え? まかさ飲んでた? 腹壊すぞ!」
「今までは牛乳で腹を壊した事はないが……」
「マジかよ、どんな胃袋だよ」
 呆れ半分感心半分といった体でロックオンは会計の紙を持った。
 帰りの道中で、刹那はロックオンの服の裾を引っ張った。
「ロックオン」
 刹那の言葉に振り返る。
「明日、ロックオンの買ってきた肉を焼こう」
 刹那は必死に言葉を探す。
「ここのも美味かったけど、やっぱりロックオンが料理した肉も食べたい」
 ロックオンの作ったものが一番美味い。
 刹那はそう言って心配そうに上目遣いでロックオンを見上げる。
 ロックオンは思わず刹那を抱き締める。
 顎の端に軽く指を滑らせ、嬉しそうに目を細めた。
「それは、今晩泊まっていけってこと?」
「終電はまだあったはずだが?」
「刹那ぁ! 空気読もうぜ!」
 思わず刹那の頬に頬ずりをしながら情けない声をだす。
 刹那はロックオンの腕の中からすり出ると、さっさと道を駆け出した。
「おい、刹那!」
「ロックオン」
 くるり、と身体を回転させ、ロックオンに向き直る。
「また来年も、11月29日には肉を食べよう」
 い、い、に、く。と刹那は言葉に出さずに口だけで言う。
 よっぽど嬉しかったのか、とロックオンは笑顔で返した。
「オーライ、美味い肉食おうぜ」

 

 

 


*********

無駄に長くなってしましました;;
そして東京にはH急があるのかと言う素朴な疑問
牛肉もいいですけど鶏とか豚もいいですよねー
鶏肉のバター焼きとか好きです

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